怖がらせ罪(こわがらせざい)

 

怖がらせ罪の物語(視点 ムーム)

 

罪人は罪人らしく
牢獄で項垂れていろ!!
何ごとであるか と思いつつ
言われた通りの姿を続ければ
相手は気が済んだのか 改めて沈黙をした
地上から滴る雨水の落ちる音と
星のランプの灯が時に揺れる影の 路がゆらめくのを知る
ここでは急いてなお時は止まったかのようである
我が身を待つのは一生を監獄で過ごす定めだと受け入れたあの日から
喧騒を嫌うのが我が輩の性分ゆえに
我が輩は暫し 項垂れていることにした
何しろ看守の方もまた永久に仕事中の身である
そして我が輩はその者においては 罪人という仕事の最中であった
孤独を受け入れよ その罪状を与えられ
一体 何千年が経過しただろうか?
無限の時を生きる我が輩へ 与えられた罰は
罪人を永遠に檻の中へ閉じ込め続けると言う
何とも雑で単純なものである
この世は檻に似て不愉快に面白い
永遠の監視という任務を与えられた
看守 いわゆる外側の者と
罪人とし時のただまりに潜む檻の中の我が輩とは
一体 何が違うのだろうか?
労働に対応する快楽を求め無下に行い続けることも
檻に阻まれ外をふと忘れ
深き思想の中で孤独と共存しておくことも
本質はそう変わりもせず
互いに互いの自由の形を求めた結果とも言えるだろう
外を知れば 生きとし生けるもの
みな自身が名声のためにと 達者な事を述べ消えて 行きかうが
ただ求めているものは 皆そう変わりはなく そこには
砂丘に舞う塵ほどの違いが ややとして垣間見えることがあるのみである
ただしけだけきを続けるにおいては行いにおいて
知っておくことがあるだろう
行いにおいて他へ迷惑をかけるかそうでないかは
他にとっては最も重要だということである
さて
我が輩は罪人となった
なぜであるか なぜならば 
我が輩において 大変つまらない事があったためである
それは 数千年前の稀なこと 
務めと思いゴーストとし動く頃の話
孤独を好む者を見つけ 少々の悪戯を仕掛けたことがあった
 普段は取るに足らぬものとし終わるものが どうやらそうはいかなくなった模様
そう 我が輩の行いを仕掛けた相手が悪かったようだ
海を見て一息 その姿に声をかける
警告の意があったに違いない
しかし
まさか星の王女が一人
隣町の港でたそがれているなど
思いもしなかったのである
その声のかけ方は ゴーストたるや であった
驚かし怖がらせてやらねばと
悪戯に驚かせたが最後
同じく王女を監視していた
城の者たちによって
捕らえられたのである
捕らえられ
一度は己の不運を恨んだが
しかし
現在においては 我が輩は自らの意思で城の檻へと入っている
もはや数千年の長きにわたる投獄に 相手も飽き飽きとしたのか
一度釈放してやろうと言う話を持ちだしてきた
我が輩は断ったのである
中も外もそう変わらない この世界の皮肉へと
檻の中 気づいてしまったためである
さて
いつものように1人の世界で幾人もの自分と対話しておれば
寒々しい監獄を コツコツと
軽快な音が聞こえて来るではないか
その足音は 我が輩の檻の前で止まり
面倒にかまけ項垂れたふりをする我が輩へと
話かけてくる
 
物好きなあなたに面白いお話があります
このようなお話
ワタシ一人で抱えているのは
勿体ないと思うんです
これを聞いたときより
あなたはまた 今の仕事をつまらなく思うことでしょう
お話の方を続けますがよろしいですか?
曖昧だ
我が輩が無視をし続けると
その者はすらすらと 面白いらしい話を持ちかけはじめた
星の導きによれば
ワタシ 死という罪を受けることになりました
ただこれは孤独よりか不思議な気分です
ワタシ今これ以上ないってくらい
生きる幸せに満ちています
ムーム あなたも一緒にどうですか?
この星へ住み星の導きを知らなないものはおらず
それを受けたものとは初めて話をした
孤独よりか不思議
死とは一体なんたるや?
突如 得体の知れぬものを
突きつけられた心地がし
我が輩は一旦孤独を止めその者へ意識を向ける
檻越しにその者の顔を覗き込むとき
我が輩はふと意識を手放し眺めていた
その刻 我が輩は言葉という言葉を忘れていた
光をたたえる瞳と
凛とした表情は罪だと比喩する
死をも恐れぬと言った風合いである
形容しがたい心地がし 我が輩は沈黙を続けていると
その者は話を続ける
どうやら 一人ではあちらの世界で長く生きられないようです
だから あなたのような 風変わりな仲間が欲しいです
星の導きについてはご存知でしょうか
どうでしょう あなたも一緒に 来るかしら…?
だんだんと柔く 声の調子を
落としながら話すその者へ
我が輩はようやく 言葉を投げ掛けた
投げかける言葉は常日頃に思いつくような ぞんざいなものではなくあったことを覚えている
 
〇〇 〇 〇〇
時は流れども
お前は何も
変わっておらんようだ
独りを演じ
寂しいふりをするお前
そのような憐れな命を
怖がらせるのが
我が輩の役目
〇〇 〇 〇〇
そう言うとその者は薄暗い地下牢の中
光を放つかのように明るく述べた
「死とは生きる間に
誰かと共にある瞬間を望む
そのことです」     
またお会いしましょう ムーム
今からその時が楽しみです
そう言い残すと
軽やかに踵を返し
監獄を去っていった
その者こそが 我が輩の
数千年前の罪
その元凶であることは言うまでもない
我が輩を 見張り続ける友
外の者は 一部始終を見て 凍り付いていた
その場では
敬礼を 未だ止められず ただ打ちひしがれている
我が輩はそれを瞼の裏へ感じながら
どうもいつまでも
笑いが止まらなかったのだ
Message From Ghost Mumu

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